野球の夏場の熱中症対策では、試合や練習前から水分・塩分を補給し、暑さ指数(WBGT)に応じて休憩や中止を判断することが重要です。特に、ヘルメットやキャッチャー防具を着ける選手、人工芝のグラウンドで活動する選手は、体に熱がこもりやすいため注意が必要です。
頭痛、吐き気、めまい、強い疲労感、足がつる、反応がおかしいといった症状が出たら、本人の気合いや我慢で続けてはいけません。すぐに活動を止めて涼しい場所へ移し、症状が重い場合は救急車を要請します。
野球の夏場に行う熱中症対策
基本は「暑さを確認する」「こまめに飲む」「休む」「体を冷やす」の4つです。選手任せにせず、監督やコーチ、保護者、審判も中止や休憩を判断できるようにしておきます。
- 練習や試合の前に、気温だけでなく暑さ指数(WBGT)を確認する
- のどが渇く前から、少量ずつこまめに飲む
- 給水だけでなく、日陰や冷房のある場所で体を休める
- 帽子、冷却タオル、氷などで体を冷やす
- 体調不良や睡眠不足、発熱後の選手を無理に参加させない
- 症状が出た選手を一人にしない
練習や試合前に確認すること
開始前には、天候だけでなく、選手の体調とグラウンドの環境を確認します。暑さに慣れていない時期や、急に気温が上がった日は、通常どおりの練習量にしないことが大切です。
暑さ指数(WBGT)を確認する
WBGTは、気温だけでなく湿度や日差しなどを含めて、熱中症の起こりやすさを示す指標です。環境省の熱中症予防情報サイトで、活動場所に近い地点の数値と予測を確認します。
一般的な運動の目安として、WBGTが31以上なら原則として運動を中止し、28以上31未満では激しい運動を避けて、頻繁に休憩を取ります。ただし、地域の大会要項や学校・チームの基準がある場合は、より厳しい基準を優先してください。
同じ地域でも、日なたのグラウンド、人工芝、風の弱い場所では体感や実際の負担が変わります。数値だけで続行を決めず、選手の様子も合わせて判断します。
選手の体調を確認する
睡眠不足、朝食抜き、発熱や下痢の後、前日の疲労が残っている状態では、熱中症のリスクが高くなります。練習前に「頭痛や吐き気はないか」「食事や水分は取れたか」「体が重くないか」を確認し、少しでも異常があれば練習量を減らすか、参加を見合わせます。
水分と塩分は「のどが渇く前」に補給する
給水は、のどが渇いてから一度に大量に飲むのではなく、練習や試合の前・途中・後に分けて行います。目安として、ベンチや守備位置からすぐ取れる場所に飲み物を置き、イニングの合間や交代時に飲めるようにします。
- 練習・試合前:活動開始時に脱水状態にならないよう、あらかじめ水分を取る
- 活動中:短い休憩を何度も設け、少量ずつ飲む
- 活動後:汗で失った水分を、食事なども組み合わせて補う
大量に汗をかく日や長時間の活動では、水だけでなく電解質を含む飲料も選択肢になります。汗の量や活動時間に応じて、スポーツドリンクなどを利用しますが、糖分が気になる場合は薄める方法もあります。薄める場合は、製品が想定する成分濃度や表示も確認してください。
塩分を補うために、食事や塩分を含む飲料を活用する方法があります。ただし、塩分タブレットやサプリメントを大量に取ればよいわけではありません。持病や食事制限がある人は、保護者や医療者に確認してください。
野球では防具とグラウンドの暑さに注意する
野球は、走り続ける競技ではなくても、守備中に長く日差しを受けたり、ベンチで待機したりする時間があります。防具を使う選手は、次のような対策を組み合わせます。
| 場面 | 対策 |
|---|---|
| 守備中 | 日陰があれば利用し、守備位置や待機場所で水分を取れる体制を整える |
| ベンチ | 日よけを設置し、氷や冷却用品、飲み物をすぐ使えるようにする |
| キャッチャー | 防具を外せる時間に外して体を冷やし、交代や休憩をためらわない |
| 打席・走塁後 | 戻ったら水分を取り、首やわきの下などを冷やす |
| 人工芝や照り返しの強い場所 | 地面の熱も考慮し、休憩時間と場所を十分に確保する |
ヘルメットや防具を着けたまま長時間待機させないことも重要です。交代できる選手がいる場合は、無理をさせず、早めに守備交代や休憩を行います。
休憩は「症状が出てから」ではなく先に取る
休憩は、選手が「大丈夫」と言っていても、決めた間隔で取ります。日陰や冷房のある場所で防具を外し、飲水と冷却を同時に行うと、体温の上昇を抑えやすくなります。
特に、次の条件では休憩を増やす必要があります。
- 湿度が高く、汗が蒸発しにくい
- 風が弱い、または日差しが強い
- 長時間の練習や連戦になっている
- 防具や厚いユニフォームを着用している
- 暑さに体が慣れていない
- 前日から疲労や睡眠不足がある
休憩中に水分を取っても、頭痛や吐き気、ふらつき、強いだるさが改善しない場合は、活動に戻してはいけません。
熱中症の症状が出たときの対応
症状がある選手を、ベンチで休ませるだけにしないでください。次の順番で対応し、重症の可能性があれば救急車を呼びます。
- 活動を直ちに止め、日陰や冷房のある涼しい場所へ移す
- 衣服や防具をゆるめ、体を冷やす
- 首、わきの下、足の付け根などを氷や冷たいタオルで冷やす
- 意識がはっきりしていて自分で飲める場合だけ、少量ずつ水分や電解質を含む飲料を飲ませる
- 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い、けいれんがある、飲み込めない場合は無理に飲ませない
- 改善しない、または重い症状がある場合は119番通報し、救急隊が到着するまで冷却を続ける
意識がない、反応が明らかにおかしい、まっすぐ歩けない、けいれんしているといった場合は緊急性があります。救急車を呼ぶか迷うときも、現場の責任者だけで判断せず、119番で状況を伝えて指示を受けます。
吐き気や意識障害がある人に、無理に飲み物を飲ませると誤嚥の危険があります。また、症状が落ち着いて見えても、一人で帰宅させず、保護者や医療機関への連絡を行います。
チームで事前に決めておく熱中症対策
熱中症が起きてから対応を考えると遅れることがあります。練習や試合の前に、次の項目をチーム内で決めておきます。
- WBGTを誰が、いつ、どこで確認するか
- どの数値で練習内容を変更し、どの数値で中止するか
- 給水と休憩の時間、場所
- 氷、冷却タオル、飲料、救急用品の保管場所
- 体調不良者を見つけたときに連絡する責任者
- 保護者への連絡方法と、救急車を呼ぶ判断
- 近くの冷房のある場所や医療機関
子どもは自分から「休みたい」「具合が悪い」と言い出せないことがあります。大人が顔色、返事、動き、汗のかき方を観察し、休憩や交代を指示してください。暑さ対策は選手の我慢で補うものではなく、練習計画と運営で行うものです。
野球の夏場の熱中症対策で最初に行うこと
まず、活動場所のWBGTを確認し、休憩・給水・中止の基準をチームで共有してください。そのうえで、飲料、氷、日よけ、防具を外して休める場所、緊急連絡先を準備します。
暑さが厳しい日は、練習時間を短くする、内容を軽くする、人数を分ける、または中止することが最も確実な対策です。症状が出た選手を活動へ戻さず、涼しい場所で冷却し、重い症状や改善しない症状があれば119番通報してください。







