野球選手の肘の可動域をチェックする方法は?

野球選手の肘の可動域をチェックする方法は?

野球選手の肘の可動域は、肘を曲げ伸ばしする動きと、前腕を内外にひねる回内・回外を、左右で比べてチェックします。正確に数値化する場合は、理学療法士や医療者がゴニオメーター(関節の角度を測る器具)で測定します。自分で確認する場合は、痛みや引っかかりの有無も含めて無理なく行い、左右差が大きい、痛みがある場合は投球を続けず専門家に相談してください。

野球選手の肘の可動域でチェックする動き

主に次の3種類を確認します。肘だけでなく、前腕の回転も投球動作に関わるため、まとめて見ることが大切です。

確認する動き 動作 見るポイント
屈曲 肘を曲げる 左右同じ程度まで曲がるか、痛みや詰まりがないか
伸展 肘を伸ばす 反対側と比べて伸びきらない、痛みや引っかかりがないか
回内・回外 肘を曲げたまま手のひらを下・上に向ける 前腕が左右同じ程度に回るか、肘や前腕に痛みがないか

「肘の可動域」と呼ぶとき、一般には屈曲・伸展を指すことがあります。一方、野球の動作を確認する目的では、肘に近い前腕の回内・回外も一緒に確認すると、動きの偏りを見つけやすくなります。

自分で肘の可動域をチェックする方法

自分で行うチェックは、正確な診断や測定ではなく、左右差や痛みを確認するための簡易チェックです。運動後すぐではなく、痛みや疲労が強くない状態で行ってください。

  1. 姿勢をそろえる。

    椅子に座り、肩の力を抜きます。両腕を同じ姿勢にして、右肘と左肘を順番に確認します。

  2. 肘を曲げる。

    手のひらを上に向けた状態で、肘をゆっくり曲げます。指先が肩に近づくか、左右で曲がり方に差がないかを見ます。

  3. 肘を伸ばす。

    腕を前に出して、肘をゆっくり伸ばします。反対側と比べて伸びきらない、途中で止まる、痛みが出るといった違いを確認します。肘を反対方向へ無理に押し込んではいけません。

  4. 前腕を内外にひねる。

    肘を体の脇につけ、約90度に曲げます。その状態で、手のひらを上向き、下向きにゆっくり返します。肩を回して代償せず、肘の位置をできるだけ動かさないことがポイントです。

  5. 痛みと左右差を記録する。

    「右は伸びきるが左は少し曲がったまま」「回外で肘の内側が痛む」のように、動きと症状を記録します。スマートフォンで左右の動きを同じ角度から撮影すると、変化を比べやすくなります。

正確な角度を測る方法

角度を記録する場合は、ゴニオメーターを使い、同じ姿勢・同じ測り方で左右を測定します。ただし、体の固定位置や器具の当て方で数値が変わるため、自己測定の数値だけで異常の有無を判断しないでください。

屈曲・伸展の測り方

上腕を動かさないようにして、肘の外側を中心に角度を測ります。腕を伸ばした位置を基準に、肘を曲げたときの角度と、伸ばしたときに残る角度を記録します。

たとえば、左右の伸展を同じ条件で測り、片側だけ「伸びきらない角度」が大きければ、左右差として記録します。どの程度から受診が必要かは、年齢、利き腕、過去のけが、投球量、痛みの有無によって異なるため、数値だけで一律に判断できません。

回内・回外の測り方

肘を約90度に曲げ、上腕を動かさないようにして前腕を回します。手のひらの向きだけを変えるようにし、肩や手首の動きが混ざらないようにします。

回内・回外は、肘の動きだけでなく前腕や手首の状態にも影響されます。痛みの場所が肘の内側・外側・前腕のどこにあるかも一緒に記録すると、専門家に伝えやすくなります。

チェックするときは「角度」だけでなく症状も見る

野球選手の肘は、左右差があることだけで問題と決まるわけではありません。利き腕、投手か野手か、成長期か、過去のけがや手術があるかによって、もともとの可動域は異なります。

次のような症状がある場合は、可動域の数値だけで判断せず、整形外科やスポーツに詳しい医療機関、理学療法士などに相談してください。

  • 肘を伸ばす、または曲げると痛い
  • 投球後だけ肘の内側や外側が痛む
  • 以前より肘が伸びにくくなった
  • 肘を動かすと引っかかる、音がする、ロックする
  • 腫れ、熱感、しびれ、握力低下がある
  • 投球中に急な痛みが出た

特に、急な痛み、強い腫れ、しびれ、腕が動かせない状態がある場合は、無理にストレッチや投球を行わないでください。

野球選手が可動域を記録するときのポイント

可動域は一度だけ測るより、同じ条件で継続して記録すると変化を把握しやすくなります。次の項目を記録してください。

  • 測定日と、投球から何時間または何日後か
  • 右肘・左肘それぞれの曲げ伸ばしの状態
  • 回内・回外での左右差
  • 痛みの場所と強さ
  • 腫れ、熱感、引っかかりの有無
  • その日の投球量や練習内容

練習直後は筋肉の疲労や一時的な張りで動きが変わることがあります。そのため、練習前後を比較する場合は、測定する時間帯や姿勢をそろえることが重要です。

ストレッチで無理に左右差をそろえない

肘が伸びにくいからといって、反対の手で強く押したり、痛みを我慢してストレッチしたりするのは避けてください。痛みや引っかかりがある場合、可動域の制限には炎症や関節・靱帯などの問題が関係している可能性があり、原因を確認せずに動かすと悪化することがあります。

痛みがなくても、投球選手の肘の動きに明らかな変化が続く場合は、チームのトレーナーや医療者に測定してもらうと安心です。ゴニオメーターでの角度測定に加えて、肩や手首、胸郭の動き、投球フォームなども確認すると、肘だけでは分からない要因を検討できます。

野球選手の肘の可動域チェックで最初に見ること

まずは、肘の曲げ伸ばしと前腕の回内・回外を、左右同じ姿勢でゆっくり比べてください。そのうえで、痛み、腫れ、引っかかり、以前より伸びにくい変化がないかを確認します。

左右差だけでは異常と断定できませんが、痛みを伴う差や、投球後に繰り返す変化は自己判断で投球を続けず、医療機関やスポーツ現場の専門家に相談することが大切です。